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Future Foods
北海道産「日本ワイン」

温暖化が追い風?本当のmade in japan「日本ワイン」のメッカを目指す北海道

日本でワインといってまずイメージするのは山梨県や長野県かもしれないが、北海道も負けていない。北海道は日本一の醸造用ぶどうの産地であり、そのぶどうを生かした純国産の「日本ワイン」の人気が高まっている。

北海道のぶどうで作られる「日本ワイン」

ワインには「国産ワイン」と「日本ワイン」がある。

海外産のぶどうを使用していても、日本で発酵や製造が行われれば「国産ワイン」だ。それに対して「日本ワイン」は、国産ぶどうからできた100%純国産ワインのことを指す。国内で消費されるワインのうち、日本ワインは6~8%しかないと言われる。

着色が始まった北海道で栽培されるピノ・ノワール
着色が始まった北海道で栽培されるピノ・ノワール

梅雨や台風の影響が少ない北海道は、ヨーロッパ系のぶどう品種の栽培に向いた気候とされるものの、冬の積雪や粘土質の土壌がワインづくりを困難なものにしていた。しかし、品種改良や栽培技術の向上によってこれを克服。今では日本一のワイン用ぶどうの産地となった。

そして、そのワイン用ぶどうを使った北海道産「日本ワイン」もまた注目を集めている。同じエリアのチーズと合わせてマリアージュを楽しめるのも、北海道産ワインの魅力といえる。

北海道のワインづくりの歴史

北海道のワインづくりは、1876年、明治政府の命を受けた開拓使庁が醸造所を設立したことに始まる。しかし当時、舶来の酒は人気が出ず、1913年に廃業。

それから50年ほど後、ワインづくりは息を吹き返した。十勝・池田町では農業振興策の一つとして町内に自生していた山ぶどうに着目し、調査・研究を開始。ヨーロッパの品種と技術を取り入れながら、1963年、全国初となる自治体がつくったワイン「十勝ワイン」を発売した。

70年代に入ると、富良野市も同様にワインの製造・販売を開始。また、駒ケ岳酒造(現、はこだてワイン)、余市ワイン、北海道ワインなど民間のワイナリーが相次いで誕生。全国で起きたワインブームにも後押しされ、北海道のワイン産業は着実な成長を続けた。

1876年:
開拓開拓使庁が醸造所を設立
1963年:
十勝・池田町「十勝ワイン」発売
1972年:
富良野市ぶどう果樹研究所設置
1973年:
駒ケ岳酒造株式会社設立
1974年:
余市ワイン設立、小樽市で北海道ワイン設立

2000年以降、日本全国に小規模ワイナリーが数多く作られるようになると、道内でもワイナリーの設立ラッシュが続いた。現在、道内のワイナリーは33カ所にものぼる。

ワイナリーは道内各地に分布しているが、大きく分けると、ワイン醸造用ぶどうの作付面積で北海道一を誇る空知・留萌・旭川エリア、広大な農業地帯である富良野・十勝・釧路エリア、都市でワイナリー巡りが楽しめる札幌近郊、ワイン特区に認定された余市に函館・洞爺を加えたエリアがある。

ぶどう農家から始まった、絵になるワイナリー

北海道の内陸部、豪雪地帯で知られる岩見沢市にある宝水ワイナリーも、比較的新しいワイナリーの一つ。

映画のロケ地にもなった宝水ワイナリー社屋
映画のロケ地にもなった宝水ワイナリー社屋

なだらかな斜面に見渡す限りに広がるぶどう畑のなか、小高い丘の上にポツンと建つ赤い三角屋根の建物。「本場フランスのぶどう畑のようだ」と評する人も多いという、美しい景観を持つワイナリーだ。映画『ぶどうのなみだ』のロケ地になったことでも知られる。

宝水地区の農家では1980年代からぶどうの栽培を行っていた。ある時、当時の岩見沢市長が、現在宝水ワイナリーの二代目代表を務める倉内武美さんのぶどう畑から見た景色に感動し、岩見沢にワイン産業を興したいと発案。

宝水ワイナリー 代表取締役 倉内武美さん
宝水ワイナリー 代表取締役
倉内武美さん

それをきっかけに2002年、地元農家による「岩見沢市特産ぶどう振興組合」が立ち上がる。その後、振興組合がベースとなって、2004年に宝水ワイナリーが誕生した。倉内さんは当時をこう振り返る。

「ぶどうの栽培は木を植えてから収穫するまで4年かかります。そして5年目の夏にやっと、自分たちの畑で作ったぶどうからワインを生産できます。」

「ですから振興組合の設立当初はお金がかかるばかりで大変苦労をしました。2008年、宝水ワイナリーでつくった白ワインが国産ワインコンクールで銅賞を受賞してから、徐々に注目されるようになりました。」

農家が始めたワイナリーだけに、自社栽培のぶどうを使ったワインづくりに軸足を置いている。コンセプトは「テロワール(※)の溶け込んだ、手工芸のワインを」だ。

「ワインの品質のほとんどは、ぶどうで決まります。だからいい原料をつくらないと、いいワインはできません。本来、ワイン用のぶどうは寒すぎる土地での栽培には適していません。岩見沢市も冬は氷点下になりますが、2m以上も積もる雪が寒風からぶどうの木を守ってくれるので、栽培が可能なのです。」

2m以上も雪が積もる宝水ワイナリーのぶどう畑
2m以上も雪が積もる宝水ワイナリーのぶどう畑

「冬が長いので、ぶどうが育つのは5月から10月までと短くなり、作業もこの短期間に集中させる必要があります。土地にあった品種のぶどうを土地に合った育て方で育てて、その年ごとの出来栄えや収穫量も考慮しながら、丁寧にワインづくりを行っています。」

テロワール:生育地の地理、地勢、気候による特徴のこと

自社栽培ぶどう100%の日本ワインを販売

自社畑には、ケルナー、レンベルガーなど冷涼な北海道での栽培に向くぶどうが植えられている。そして、それらのぶどうを使ったワインは、軽めで酸味の利いた香り高いワインに仕上がる傾向がある。

近年は地球温暖化の影響で、かつては北海道には適していないと言われていた高級品種ピノ・ノワールの品質も向上しているという。今後は北海道産のぶどうからも、重厚なボディの高級ワインが生まれるかもしれない。

宝水ワイナリーの自社農園で収穫されたぶどうを100%使用したワインには、「RICCA」シリーズや、よりハイクラスの「RICCA 雪の系譜」シリーズなどがある。RICCAシリーズはワイナリー設立当初から販売されている製品で、2008年の「RICCA バッカス」は国産ワインコンクールで銅賞を受賞した。ボトルには岩見沢のシンボルでもある雪の結晶(六花=りっか)がモチーフとして使われている。

自社農園のぶどうを醸造したRICCA雪の系譜バッカス2016とRICCA雪の系譜レンベルガー2016
自社農園のぶどうを醸造した
RICCA雪の系譜バッカス2016とRICCA雪の系譜レンベルガー2016

宝水ワイナリーでは直売所でワインを試飲、販売しているほか、醸造所の見学もできる。醸造所の隣の建物で春から秋まで販売されている「赤ぶどうソフト」「白ぶどうソフト」も観光客に人気だ。

宝水ワイナリーの醸造所
宝水ワイナリーの醸造所
購入したワインをその場で楽しめるスペース
購入したワインをその場で楽しめるスペース

北海道には宝水ワイナリーのような独自のこだわりを持つワイナリーがたくさんあり、品質向上に日夜努力をしている。道産ワインは全国的に評価が高まっており、海外への輸出に力を入れるワイナリーもある。農業の一つの柱として、観光資源として、北海道のワイン産業が花開こうとしている。

宝水ワイナリー人気の定番ワイン
宝水ワイナリー人気の定番ワイン
ワイン直売所
ワイン直売所
オリジナル ワイングラス
オリジナル ワイングラス

岩見沢市とアイヌ

アイヌ

アイヌ語が由来になっている地名が多い北海道において、岩見沢は数少ない和名の自治体だ。しかし市内には、志文(しぶん:アイヌ語でスプンペッ=ウグイのいる川)町や、「幌向」(ほろむい:アイヌ語でポロモイ=大きく屈曲する川)町など、アイヌ語由来の地名も複数ある。

参考:国税庁課税部酒税課「国内製造ワインの概況」(平成27年度調査分)
2018/1/25 Neojapan
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